6月6日 バイオバンクの日
6月6日は、バイオバンクの日。国内の3大バイオバンクをはじめ多くのバイオバンクをネットワーク化し、横断的な生体試料・情報の活用を促進するバイオバンク・ネットワーク ジャパンが制定し、日本記念日協会が認定した。
「バイオバンク」とは、患者や一般の人から提供された血液や組織などの生体試料とそれに関する診療情報を保管し、医学研究に活用する仕組みのこと。記念日を通して「バイオバンク」をより多くの人に知ってもらうことが目的。
日付は、バイオバンクの英語表記「biobank」の二つの「b」が数字の6に似ていることから、6月6日とした。
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バイオバンクとは、生体由来の検体を集めて保管し、その検体に関わる生活や健康に関する情報を結びつけて管理する仕組みです。ここで言う検体とは、血液や組織、尿、唾液、DNAなどさまざまですが、それらを長期にわたり保存し、研究のために活用できる状態で整えておくための施設がバイオバンクです。
こうした取り組みは、例えば集団を対象とした疫学的な解析や遺伝情報を使ったゲノム研究、さらには個別化された医療の発展にとって欠かせない土台となります。保存された検体は、ある時点ではまだ未使用であっても、将来別の研究チームによって多目的に利用され、疾患の原因や治療法の発見に繋がるケースが数多く報告されています。
その運営には、収集・加工・保管・提供という一連の流れがあり、どの段階でも品質を確保するために手順が定められています。例えば、温度管理やデータ記録、識別番号による匿名化を通じ、検体そのものや個人情報を守る体制が構築されています。また、保存後に新しい研究目的が生まれた場合、提供を受ける側も責任を負う仕組みがあり、倫理面や法規制がしっかりと定まっているのが特徴です。
こうした仕組みは世界各地で整備が進み、英国をはじめとする大規模な国レベルの制度では、数十万に及ぶ参加者からの情報と検体が30年以上にわたって蓄積されてきました。そこには医療記録や生活習慣といったデータも含まれ、研究者は将来的にどの人にどんな病気が起きるかを予測するなど、疾病予防や早期診断の観点でも活用しています。
ただ、これだけ膨大な情報や検体を扱う以上、誰の何に基づいて解析するかという点について、提供者からの納得・同意が不可欠です。多くのバイオバンクでは、「包括的な同意」を得た上で、提供された検体と情報が複数の研究に使われることを認めています。ただ、同意を得た後に研究目的が変わったり、新しい分析が始まったりした場合に、提供者にどの程度知らせるかという点は常に議論が続いています。
さらに、国際的な連携を意識した標準化も進んでいます。たとえば、検体の採取方法や保存の手順、データの付け方などを統一することで、異なる施設間でも検体や情報を安心してやりとりできる体制が整備されつつあります。このような取り組みによって、一つのバイオバンクからの成果だけでなく、複数の拠点が協力してはじめて見えてくる新しい知見も期待されています。
最終的には、バイオバンクを通じた研究が、個々人の遺伝的背景や生活環境といった要因を統合的に解明し、適切な病気予防や治療につながるような「予知」「予防」「精密医療」の実現を支えていると言ってよいでしょう。現時点ではまだ課題も残りますが、医療の未来を支える重要な基盤として、多方面から注目されています。






