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9月9日 日本クラシックホテルの日

 9月9日は、日本クラシックホテルの日。全国の歴史ある9つのホテル(日光金谷ホテル、富士屋ホテル、万平ホテル、奈良ホテル、東京ステーションホテル、ホテルニューグランド、蒲郡クラシックホテル、雲仙観光ホテル、川奈ホテル)が連携して結成された日本クラシックホテルの会が制定し、日本記念日協会が認定した。

 長年培ってきた建築的価値、接遇の文化、地域とともに歩んできた物語など、クラシックホテルの存在を再認識してもらい、観光資源としての価値向上と、保存と持続的な運営の機運を高めることが目的。

 日付は、同会が9つのホテルで構成されていることと、「ク(9)ラシック(9)ホテル」の語呂合わせから、9月9日とした。

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 日本のクラシックホテルは、明治から昭和初期にかけて建てられた洋風建築を基盤としつつ、和の趣を織り交ぜた佇まいを今に伝える名旅館とも言える存在です。こうしたホテルは一つの建物としてだけでなく、その地の歴史や文化を体感できる空間として、国内外の旅人から高く評価されています。

 中でも「日本クラシックホテルの会」には、戦前に創業し、長年にわたり建物の保全や復元に力を注いできた九つの名旅館が加盟しています。栃木の日光金谷ホテルは西洋文化と和の調和を目指したリゾート型で一八七三年創業、日本最古の現存ホテルとして知られています。箱根の富士屋ホテルは一八七八年に開業し、洋と和の意匠を融合した館内には温泉付きの客室も備わり、その格式と温もりが今も受け継がれています。同様に、軽井沢の万平ホテルは一八九四年に創業し、北欧を思わせる木組みの外観が特徴で、重要文化財級の建物を有し、ゆったりとした時間を提供します。

 奈良ホテルや東京ステーションホテルもその仲間で、前者は一九〇九年の開業以来、奈良公園を借景とする落ち着いた佇まいと、クラシックな洋館の魅力を兼ね備えています。後者は一九一五年創業で、東京駅丸の内駅舎に宿る歴史と繋がる重厚な空間が宿泊者を迎えます。横浜にあるホテルニューグランドは一九二七年開業、往時の面影を残す本館には、戦後米軍のマッカーサー元帥も宿泊した記録があり、港町の風情を今に伝えています。

 そのほか、愛知・蒲郡の蒲郡クラシックホテルは昭和初期に造られた城郭風建築とアールデコ様式の調度が調和し、三河湾を望む眺望も魅力です。長崎の雲仙観光ホテルや静岡・川奈ホテルなども、それぞれの土地に根づいた自然や文化と一体化しながら、格式ある時間を提供し続けています。

 これらは単なる宿泊施設にとどまらず、建築や歴史を感じる博物館のような趣があります。日本クラシックホテルの会では、この九館の魅力を巡る旅の記念として特別なパスポートを発行し、滞在のスタンプが集まると食事や宿泊券が得られるなど、旅の楽しみも広がる工夫がなされています。

 時間の流れを肌で感じる館内の調度、伝統を感じさせるもてなし、そしてそれぞれの土地の風景を借景とした建物の佇まいは、時を超える旅情を呼び起こします。日本のクラシックホテルは、単に眠る場所というよりは、日本の近代化の歩みが息づくステージとして、訪れる人の心に深い余韻を残す、そんな特別な体験を与えてくれる存在なのです。

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