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8月4日 へらしぼりの日

へらしぼりの日

 8月4日は、へらしぼりの日。神奈川県川崎市で「へらしぼり」などの金属加工を手がける有限会社相和シボリ工業株式会社大矢製作所今野工業株式会社の3社が共同で制定し、日本記念日協会が認定した。

 「へらしぼり」とは金属板を回転させながら「へら」と呼ばれる棒のような工具を押し当てて変形させ、回転体の形にする金属加工技術。記念日を通して若手職人の育成を促し、技術の継承を支援することが目的。

 日付は、「へら(8)しぼり(4)」の語呂合わせから、8月4日とした。

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 へらしぼりとは、金属の板を回転させながら「へら」と呼ばれる棒を押し当てることで、少しずつ形を変えて成形する技法です。これにより、お椀のような浅い形から、コップやドーム状の深い形まで、多彩な形状の製品をつくり出せます。工場での加工は機械(スピニングマシン)を使うものが多いですが、熟練の職人による手作業でも伝承され、その名人技はまるで金属がろくろのように滑らかに変わっていく様子が魔法にも似ています。

 この技術の魅力は、専用の金型が単純で済む点にあります。プレス加工と違って雌型不要で、雄型だけで対応できるため、試作や少量生産での立ち上がりが早く、コスト面でもメリットが大きいのです。とはいえ、職人の腕が仕上がりの精度に直結し、破断などのリスクもあるため、高技術が求められます。

 作品例としては、銅やステンレス、アルミなど多くの素材で、やかん、ボウル、照明のシェード、楽器のシンバル、自動車・バイク部品、さらに大型設備の部品など、生活用品から産業用途まで幅広く活用されています。特に鉄フライパンでは蓄熱性を活かした軽量化が注目され、アウトドアブランドなどがこの加工を採用している例もあります。

 作業工程はまず金属板を型に取り付け、回転させながらへら棒やローラーを使って中心から外側へしごくように少しずつ押し伸ばし、板厚を均一に保ちながら形を成していきます。厚板や硬度の高い素材では加熱処理を併用する場合もあり、板金のしなりや延びを見極めながら複数回に分けて成形されます。

 この技法は、生成できる形が回転対称であること、自動化できるものもある一方、職人の感覚や力加減に頼る部分が大きい難易度の高い技術である、という二面性を持っています。歴史は中世ヨーロッパ、1900年代初頭の日本でも洗面器などに使われ始め、現在ではスピニング加工とも呼ばれ、深絞りから大型品まで対応できる柔軟性が高い点が注目されています。

 まとめると、へらしぼりは、金属板を回転させながらへら棒でしごいて形を成す加工法で、金型費が安く立ち上がりが速い点が利点です。多様な素材と形状に対応可能で、生活に密着した製品から工業製品まで広く活かされています。